文化庁メディア芸術祭 札幌展 ココロ・つなぐ・キカイ

紹介作品

マンガライブラリー

失踪日記

失踪日記吾妻 ひでお

第9回マンガ部門大賞 ※北海道出身

この作品は「私マンガ」というジャンルに属します。新しいジャンルではありませんが、多くのそうした作品がどうしても「エッセイマンガ」になることが多いのに対して、この作品が作品としての品格をしっかりともっていることに注目していただきたい。むしろ自分の感情・感想を排し、乾いた目でシビアな状況をギャグに仕立てています。この作家が一度はマンガの道を離れながらも、もっていた才能を正しく発揮して元の道に戻ったことに驚きと歓びを禁じえない作品です。

イムリ

イムリ三宅 乱丈

第13回マンガ部門優秀賞 ※北海道出身

緻密に構成された壮大な叙事詩を、堂々と物語る本格異世界ファンタジー。4000年前の戦争で凍りついた母星を離れ、隣星マージに移り住んだ、勝利者カーマの民と奴隷民イコル。母星ルーンに留まったイムリの民に伝わる「イムリの道具」の謎を探るため、ルーンに向かった呪師候補の若者デュルクは、自らの秘められた宿命に導かれ、歴史の闇に埋もれた民族の運命にただひとりで立ち向かいます。誰も見たことのない異世界を、まるで見てきたように描きだす物語世界の構築力は抜群です。それは作者の現実世界への観察力と、その本質へと届く想像力のたまものです。弱く危険な人間の心への洞察にあふれた、ダイナミックでスリリングな知的エンターテインメント作品です。

百姓貴族

百姓貴族荒川 弘

第16回マンガ部門審査委員会推薦作品 ※北海道出身

マンガ家になる前は北海道で7年間、農業に従事していた荒川弘。農業にまつわる喜怒哀楽を知り尽くした著者が日本の酪農業の厳しい現実を捉えつつもタフでパワフルな生き様を爆笑エピソードとともに披露しています。数々の作品で生命の讃歌を描き続ける著者のルーツもわかる、知られざる農家の実態を描いたエッセイコミックです。

アオイホノオ

アオイホノオ島本 和彦

第18回マンガ部門優秀賞 ※北海道出身

本作は、いわゆる「マンガ家マンガ」にジャンル分けされる作品で、作者自身と思われる芸術系大学に通う学生が、マンガ家を目指して1980年代初頭の芸術系大学で悪戦苦闘する物語。実録系の「マンガ家マンガ」には、読者もよく知るマンガ家やアニメーターが不可欠ですが、本作品もその例に漏れず、やがて『新世紀エヴァンゲリオン』で一世を風靡する庵野秀明や、オタクの教祖とも言える岡田斗司夫(おかだとしお)などが、実名のまま笑えるバイプレイヤーとして登場します。多くの著名人を輩出した芸術系大学は、差し詰め「1980年代のトキワ荘」といったところでしょうか。つまり本作品は「平成の『まんが道』」なのです。深夜に放映されたテレビドラマも話題になった作品です。

機械仕掛けの愛

機械仕掛けの愛業田 良家

第19回マンガ部門優秀賞

“心”に似た機能を持つロボットたちが、近未来の地球各地で織りなすさまざまな寓話からなるオムニバス集。人間のために働くロボットたちを軸に、物語は展開されます。
街にたたずむ自販機ロボ、本を愛する刑事ロボなど、プログラムされた機能を果たしているだけの彼らは、その純粋な“機能”をもって、人間たちに語りかけます。これまで「人生に意味はあるか」「人間の想いは永遠であるか」などのテーマを描いてきた作者が、ロボットの営みを通して「人間とは何か」「“心”とは何か」を表現した作品です。

※その他作品も多数ご用意しております。